関節可動域制限について

臨床現場において関節の可動域制限を機能障害として鑑別することがあると思います。

なぜ、制限が起こるのか?何が原因なのか?素朴な疑問が生じると思います。

今回は関節可動域制限とその制限因子について説明したいと思います。

まず、医療現場では関節可動域のことをROM (Range Of Motion)と表記します。

「Range=範囲」「Motion=可動」なので、各関節が運動を行う際の生理的な運動範囲の事を示します。

正常な関節運動の遂行には、関節を構成している骨格形のほか、関節を動かす筋系、関節からの情報を感知し必要な指令を発する神経系、関節の循環・栄養に関わる血管系、関節の保護や安定に働く皮膚・靭帯・関節包などの組織が、正常かつ機能的に役割を果たすことが重要です。

関節可動域制限は、骨折・捻挫・脱臼・靭帯断裂・変形性関節症など、関節そのものの外傷や疾患による一次的因子と、神経麻痺・疼痛など関節外の障害に続発しておこる二次的障害因子があります。

また、疾患や麻痺、疼痛などがない正常状態においても、肥満・筋肥大・年齢などの生理学的因子や靭帯の柔軟性、関節構造の個人的特性などの構造的因子により関節の可動域が減少することがあります。

関節可動域を評価するにあたり3つのポイントがあります。

1つ目は骨性です。
骨同士の接触で生じます。
弾力に欠けた感じで急激に制限されます。

2つ目は軟部組織の接近感です。
筋などの軟部組織同士の接触で生じます。
運動が停止する際にしなやかな圧迫感があります。

3つ目は組織伸張感です。
拮抗筋や関節包などわずかな弾力性のある硬いバネのような感じで、関節可動域終末部で抵抗感があります。

この3つのポイントを評価(判断)することで関節運動の障害を捉え、より良い治療に繋がると考えます。

というわけで、今回は関節可動域の評価について簡単に説明いたしました。

次回はその制限因子について細かく区分して説明したいと思います。

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