制限因子について

みなさんこんにちは。
企画・広報部のPT米田です。

前回に引き続き、今回は関節可動域の制限因子について細かく区分して説明していきたいと思います。

制限因子には拘縮・強直・癒着・腫脹・浮腫・疼痛・防御性収縮の7つが挙げられます。

1拘縮
長期不動・固定により筋膜・皮下組織でコラーゲンが多層にわたり堆積し発生します。
<特徴>
各組織の伸張性が低下・欠如し無痛。
Hoffaの分類という組織別の分類がよく用いられますが、皮膚・結合組織・筋・関節包・神経などが原因で起こります。
早期での結合組織増殖と癒着は可逆的ですが、晩期で生ずる関節軟骨の繊維化、軟骨化障害は非可逆的です。

2強直
<原因>
長期固定により増殖した線維組織が軟骨を包み込み、軟骨が相接する部分は表・深層で空洞化や骨化が起こり発生します。
<特徴>
関節相対面の癒着により他動的に関節が動かなくなった状態。関節周囲の軟部組織の変化が合併している事が多く、強直と拘縮を厳密に区別するのは困難です。

3癒着
<原因>
術後や、浮腫・炎症に伴って粘膜や漿膜が周囲に付着し発生します。
長期不動や長期固定でも発生します。
<特徴>
筋膜・関節包・靭帯・腱などの組織で発生することが多く、外観的にも組織の状態や腫脹を観察でき、痛みを伴った可動域制限です。

4腫脹
<原因>
外傷や術後、その他の炎症により細胞容積が増大することで発生します。
<特徴>
関節最終域で当該関節部の視診や、弾力性のあるEnd feelにより容易に判断できます。
膝関節の水腫などが代表例です。

5浮腫
<原因>
原因は様々ですが、主に体液量増加による間質の腫脹により発生します。
<特徴>
骨関節疾患においては浮腫のみの発生は稀で腫脹を伴う事が多い。
関節最終域で、当該関節部の視診・弾力性のあるEnd feelにより容易に判断が可能です。

6疼痛
<原因>
主に体性痛(体節)、表在痛(体表)、深部痛(骨格筋、関節など)、内臓痛、心因性により発生します。
<特徴>
拘縮、浮腫以外の原因を考えます。
腫脹、防御性収縮、筋スパズム、構築学的異常、セラピストの誤操作などが考えられます。

7防御性収縮
<原因>
心因性(恐怖心など)、疼痛の為に過剰に筋収縮し発生します。
<特徴>
臨床で多く見られる現象です。
その時に発生する疼痛について十分な説明をする事で改善されやすいです。

以上の因子が単独で原因となることはもしろ稀で、みなさんも経験があると思いますが、ほとんどの場合が疼痛を伴う制限です。

様々な原因が関与していますので、全体をしっかり評価しリハビリ治療に役立てて頂きたいと思います。

というわけで、今回は関節可動域の制限因子についてでした。

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