ネックオアシスが特許を取得いたしました。

おすすめ頸椎枕 枕選びにお困りの方へ 整形外科医枕・ドクターズピロー「ネックオアシス」

みなさんこんにちは。
開発担当の森亮一です。

皆様にご利用頂いておりますネックオアシスですが、この度ようやく特許を取得することが出来ました。(特許第7197850号)
そこで今回は特許についてのお話をしたいと思います。

そもそも特許は何のためにあるかというと、ちょっと言い方が悪いですが自分のアイデア(発明)を他人に盗られないためにあります。
つまり、自分しか扱えない権利を持つということです。(但し20年間だけ)

良いものを発明し、特許を取りたいと思ったら、発明品が出来上がった時点ですぐ申請しなければなりません。
(ちなみに、申請するのは早口言葉の「東京特許許可局」ではなく特許庁ですよ)
販売してから「チョー人気商品で爆売れしてるので特許も取ろう!」と思ってもダメです。

これは、特許には「新規性(しんきせい)を有すること」というルールがあるためです。
新規性とは、その発明が今までにない新しいものであるという意味で、少しでも世の中に知れたものは新規性を喪失していることになります。
ですので、販売してから特許を申請するのでは遅すぎるのです。
そして、特許は完全オリジナルでなければなりませんので、似たような前例があっては発明とは言えません。

そしてもう一つの大事なルールで「進歩性(しんぽせい)を有すること」というルールがあります。
これは、その辺のものをちょこっとだけイジって「はい。新しく発明しました!」といって誰もが改良を繰り返して特許を取りまくることを防ぐルールです。

このルールは専門的なハードルが高く、その分野でそこそこ知識がある人が「これはさすがに一般人は知らないだろう」と思って発明しても、その専門の人なら簡単に思いつくようなものは進歩性があるとは認められません。
専門的知識を駆使し、その上で誰も考えつかなかったアイデアに対し「進歩性を有する」と判断されるのです。

以上の2つのルールを担当の審査官が認めれば特許取得となるのですが、当然の如くそう簡単にはいきません。
私の場合も医学的知識と整形外科的アイデアを入れ、他には無い新しいものを作ったつもりでも、それを自分で文章化すると、なぜか特に新しくもなく、どこかで見たようなものになってしまいました…。

ここで、強い味方である弁理士さんの登場となるわけですね。

特許は本来発明者が申請するものですが、その発明を正確に文章化し、文言が人によって違う解釈にならないように表現しなければなりません。
これがなかなか難しいので、結局は特許のプロ=弁理士さんに代理人になってもらうことなります。

弁理士さんに自分が発明したものを伝えたら、まず先行品が無いかチェックします。
せっかく良いアイデア商品を発明したと思っても、調べてみたら大昔に主婦が発明してた!なんていう事もあります。
今は特許情報プラットフォームというサイトがあるので、そこで自分でも先行品のチェックが出来ますが、自分の発明がどういう発明に分類されるか分からずチェック漏れの可能性もあるので、やはり弁理士さんに広く調べてもらうべきでしょう。

先行品が無いことが確認出来たら、発明したものについてどの部分に新規性があり進歩性があるのかを文章で説明します。
発明品というものは、いろいろ試行錯誤を繰り返して出来上がったものなので、その中には恐らくアイデアが沢山詰まっていると思います。
そのアイデアの数々を一つずつ項目に分け、これらをまとめて特許として申請するのです。

このアイデアの一項目を請求項といいます。
請求項がたくさんあるほどより限定的となり他人に真似されにくくなるのですが、ほとんどの場合は審査中に新規性・進歩性が認められないという判断で削られてしまうので、請求項はだいたい数項目程度になります。

しっかり吟味して出来上がった書類を特許庁に送り、そこから審査が始まるのですが、たくさん送られてくる書類の中から自分の発明が審査される順番を待たないといけないので、書類を送ってもすぐには審査されません。
早ければ数か月後に審査が始まりますが、ほとんどの場合は1年近く待たなければなりません。
そのため、出来るだけ早く特許を取りたい人のために、プラス料金で早期審査スーパー早期審査というファストパスみたいな制度も用意されています。

さて、やっと自分の番が回ってきて審査が始まったとしても、当然一発合格というわけにはいかず、何回かやり直しを命じられます。
やり直しの場合は拒絶理由通知書というものが来るのですが、拒絶されてもちゃんとその理由を説明してくれてますので、そこを再度詳しく丁寧に説明して再度申請します。
この時、拒絶理由が納得できない時は反論するための意見書という書類を提出し、逆に拒絶理由が「あなたのおっしゃる通りです」という時や、内容に不備がある時は、その内容を補正した手続補正書という書類を提出します。
この拒絶に対するやり取りがなかなか難しくて、弁理士でない一般人では恐らく無理だと思います。

このやり取りの結果、残念ながら特許が認められなかった場合は最終的に拒絶査定という通知が来ますが、認められた場合は特許査定という通知が来ます。
この時点でとりあえず喜んで良いと思います。
しかし、実際の特許権はまだ獲得しておらず、ちゃんと特許料を支払って初めて特許権が発生し、特許証が交付され、喜んでも良いことが約束されるのです。

ネックオアシスの場合は治療用枕として申請しましたが、枕は特許の中でも特に母数が多いので大変苦労しました。
優秀な弁理士さんにお願いして良かったと思います。

これからは枕を高くして眠れますが、私はこれからもネックオアシスを使います(笑)

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