みなさんこんにちは。
企画・広報部のPT米田です。
前回はバランスについてお話しましたが、人間は結構難しいことを無意識にやっています。
私たちPTは、この無意識の中にある潜在的な能力を、分かりやすい言葉に換えて患者さんに理解してもらう必要があります。
そのコミュニケーション能力もPTの腕の見せ所ですね。
さて、今回はバランス機能の中でも最もADLに直結する歩行について説明したいと思います。
歩行は、左右の足を一歩ずつ出して、2歩で1周期と考える繰り返し運動です。
その1周期の中の動作を更に細かく分けたものを相あるいは期と言い、足が床についている間は立脚期、着いていない間は遊脚期と言います。
両足で考えると、両足が床に着いている期間を両脚支持期、片足のみが床についている期間を片脚支持期と言います。
続いて相に分けて説明していきます。
どちらかの足が床に着いた時点を初期接地と言います。
次に反対側が離地するまでを荷重応答期と言います。
ここは両脚支持期なので両脚が前後に開いた状態になります。
着目している片脚のみが床に着いていて、前へ出す反対側の踵が離れてから着目足の下腿を超えるまでを立脚中期、下腿を超えてから床に着くまでを立脚終期と言います。
さらに着目足が床に着いてから離れるまでを前遊脚期と言い、遊脚期へ繋がる最終準備期間です。
振り出された着目足が反対側の下腿と交差するまでを遊脚初期、着目足の下腿が床と垂直になるまでを遊脚中期といいます。
正常歩行において1周期の60%を立脚期、40%を遊脚期となり、その内20%が両脚支持期、40%が片脚支持期となります。
ここから骨格筋とバランスを紐付けながら立脚中期(片脚支持期)に着目して説明します。
立脚中期(片脚支持期)の際、足裏は全面接地して床に安定した基盤を作ります。
そして上半身・下半身が一体となり、重心が最高地点を迎えており、骨盤は水平、体幹も鉛直位に保持されています。
この時、大腿筋膜張筋、中臀筋、大臀筋といった骨盤を水平に保つ筋肉が働くことにより、上半身・下半身の連結部分が固定化され、安定した歩行に繋がります。
例えば、変形性股関節症等により臀部の筋肉が衰えていると、大殿筋や中殿筋の筋活動が十分に発揮できず、股関節を内転-内旋させ、殿筋や外旋筋群の受動張力を高めた骨盤がふらふらした動作になります。
これをトレンデレンブルグ徴候と呼びます。
また同様の臀部の筋力低下に対し体で補おうとするデュシャンヌ徴候があります。
(ちなみによく似た言葉でトレンデレンブルグ体位というのがありますが、これはショック時に頭を下げる体位のことでトレンデレンブルグ徴候とは全く違います)
この様な動作が出ると、疲れやすくなったり転倒したり、安全に生活出来なくなります。
筋力低下ひとつにしても身体に大きく関与している事がわかりますね。
総括すると、、、治療を行う上で歩行の評価は非常に大事です(臥位・座位・立位からの姿勢も大事)。
そこから必要と思われる治療をこれから患者さんにアプローチしてみて下さい。
もし効果がみられない場合は、他の問題点を考え再度アプローチしていく、この過程が治療において必要になってきます。
また、姿勢における筋活動により、アライメント不良の発生や疼痛状態の発生・代償動作に繋がっている点が想起されます。
次回は関節可動域制限についてお伝えいたします。
ニートレくん。の詳細はこちらから👇
大腿四頭筋訓練器「ニートレくん。」