肘内障

みなさんこんにちは。
開発担当の森亮一です。

今回は肘内障(ちゅうないしょう)という疾患のお話です。

ナントカ内障という病名は、眼科で白内障緑内障という病名でご存知の方が多いと思います。
「~内障」という言葉の意味は諸説あるらしいですが、基本的にはその字の如く、内部に障害がある病気という意味です。

整形外科では、肘内障以外に膝内障(しつないしょう)という膝の疾患もあります。

さて、その肘内障ですが、小児肘内障という病名で使われることが多く、幼児が勢いよく手を引っ張られて起こる肘関節の脱臼のことです。

解剖学的に肘関節は、上腕骨・橈骨・尺骨という3本の骨から出来ていて、橈骨と尺骨は手羽先のように2本並んでいます。

この橈骨と上腕骨の関節は、尺骨と上腕骨の関節よりも構造的に弱いです。

なぜかというと、尺骨の関節面(腕尺関節)は上腕骨がはまり込むヒンジのような形になっていますが、橈骨の関節面(腕橈関節)は、手首を横に回転させやすくするため円筒形になっており、上腕骨と接する部分にほとんど凹みがないからです。(下図参照)

回転しながら曲げ伸ばしをしても位置がズレないように、輪状靭帯(りんじょうじんたい)という重要な靭帯がこの円筒形の部分(橈骨頭)を囲んで尺骨に固定されています。

この輪状靭帯から橈骨の先がすっぽ抜ける脱臼を肘内障といいます。

※日本整形外科学会HPから引用

すっぽ抜けるといっても完全に抜けてしまうことはほとんど無くて、一部が緩くずれる程度のことが多いです。

原因として多いのは、何かにぶら下がって遊んでいる時に、手を放すタイミングより早く腕の力を抜いてしまった時や、家族やお友達に不意に手を引っ張られた時などです。

要するに、腕に力が入っていない状態で手を引っ張ることで肘関節の隙間が開いてしまい、輪状靭帯から橈骨頭が抜けてしまうわけです。

脱臼した時はみんな痛がって腕を挙げれなくなるので、お母さんに抱っこしてもらいたくてもバンザイが出来なくなります。

大人の場合は、腕を強く引っ張られると肩が外れるイメージがありますが、小さいお子さんの場合は意外に肩関節脱臼はほとんどありません。

(ちなみに骨折も同じで、幼児期・学童期の腕の骨折は、ほとんどが前腕~肘周辺の骨折です)

治療は、抜けた橈骨頭を元の位置に戻すことになりますが、脱臼を元の位置に戻す手技のことを整復(せいふく)といいます。

たいていの子は、泣きながらお母さんと一緒に診察室に入ってきて、問診するとほとんど上記のパターンが原因です。

整復する時もちょっと痛いのですが、手技自体は数秒で終わります。

なので麻酔の必要はありません。

しかも整復されたあとは嘘のように痛みがなくなります。

正常に整復されたかどうかの確認方法もたいてい決まっていて「バンザイ出来る?」「きらきら星出来る?」です。

こうして痛みがとれた後は、帰る時にみんな嬉しそうに手を振ってくれます。

小児肘内障は、幼児期の整形外科疾患の中でも比較的多く、しかも一度きりではなく繰り返す場合もあるので、これを経験した場合はしばらく同じ側で手を繋ぐのを控える方が良いでしょう。

以上、肘内障のお話でした。

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