温シップと冷シップ

みなさんこんにちは。
開発担当の森亮一です。

今回は湿布(シップ)のお話です。

湿布には、みなさんご存知の温湿布・冷湿布というのがあります。
痛みがある部分を冷やしたり温めたりすることで痛みが和らぐ知恵は、大昔のヒポクラテスの時代からありました。
その工夫の一つとして、動物の皮や肉、泥、葉っぱ、布など、皮膚に貼り付く柔らかいものを利用して患部を冷やしたり温めたりしていました。
その後、薬学が進歩し、これらの材料に薬品を混ぜて貼る方法も開発されました。
これが現在の湿布の元になっています。

さて、ここでタイトルの温湿布と冷湿布ですが、要するに患部を長時間温めるために工夫されたものを温湿布といい、冷やすものを冷湿布というので、現在使われている湿布とは意味が違います。

みなさん良くご存知のサロンパスは、貼ってしばらくするとスーッと冷たい感じがしますね。
あの感覚はサロンパスに含まれるメントールという成分の清涼感で冷たく感じているわけで、貼った場所の温度が下がっているわけではありません。
(水の入ったコップにサロンパスを貼っても水は冷たくなりません)
温湿布も同様に、唐辛子エキスやカプサイシンの効果で温かく感じているだけで皮膚温は上がっていません。

特に、最近病院で処方されているロキソニンテープモーラステープなどの湿布は、貼付剤といって、そこに含まれている消炎鎮痛剤(痛み止め)が皮膚を通して患部に浸み込むことで痛みが取れる仕組みになっています。
つまり、現代の湿布は患部を温めるためや冷やすために使うものではないという事です。

しかし、捻挫や打撲など、負傷した直後に患部を冷やすことや、痛みが長引いている部分を温めることが効果的であることは現在でも変わりません。
そして、その後に適切な治療を行なうことで問題なく治癒します。

となると、湿布はどんな時にどのタイミングで使うべきか?という疑問が出てきます。

先ほどお話した通り、現在使われている貼付剤は、消炎鎮痛剤(痛み止め)が皮膚から患部に直接届いて炎症を抑えているので、明らかに炎症を起こしている部分に貼ればかなり効果的です。
炎症というのは、赤く腫れて熱を持っているので、例えばスネ(下腿)を打った後、まず冷たいもので冷やして、それでも赤く腫れている時に使うと効果的です。
肩こりや腰痛の場合でも、その原因が筋肉の炎症の場合は効果的です。
貼付剤は、患部での消炎鎮痛剤の濃度が飲み薬の20~30倍になると言われてるので、現代の湿布はどちらかというと痛み止めになります。
手軽で効果があり非常に便利なのですが、昔のものより粘着力が強く、ものによっては副作用もありますので、肌が弱い人は塗り薬の方が良いかもしれませんね。

以上、湿布のお話でした。

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