手のしびれ

みなさんこんにちは。
開発担当の森亮一です。

今回は手のしびれのお話です。

まず、しびれ感(痺れ感)とはどういう感覚か知らない人もいると思いますのでお伝えします。
いちばん分かりやすいのは、長い間正座をした時に足がジーンとしますが、あれがしびれ感です。
しばらくすると次にだんだんと感覚も無くなってきます。
感覚が無くなった後に足を崩すと、徐々に感覚が元に戻ってくると同時に、初めよりも強い痺れ感が来ます。
この流れは、特に末梢神経が障害された時によくある症状で、末梢神経というのは、障害された後に回復する時にも痺れが出るのです。

中枢神経の病気や、代謝異常の病気でも手の痺れが出ることがありますが、非常にたくさんの種類があるので、今回は特に整形外科でよくみる手の痺れについてお話します。

整形外科で治療する手の痺れのほとんどが、神経の圧迫によって出るものです。
神経は非常にデリケートなので、少しでも別のものが触れるだけで、神経の表面が壊れて痺れが出ます。

解剖学的に神経は、まず脳があって、その下に脊髄があり、そこから魚の骨のように細い神経が横へ枝分かれしています。
枝分かれした根元の部分を神経根(しんけいこん)といいます。
そして腰の部分で脊髄から馬尾神経(ばびしんけい)という素麵の束のような線維になります。

神経に対して、骨は上から順に、首の骨(頚椎)が7個、背中の骨(胸椎)が12個、腰の骨(腰椎)は5個あります。
それぞれの骨の間から神経根が左右へ出ています。
頚椎からは左右へ8本ずつ神経が出ており、それらは肩から鎖骨の下を通って脇の下へいき、最終的に橈骨神経・正中神経・尺骨神経という3つの神経に分かれます。

橈骨神経は、脇の下から上腕の外側→肘の外側→親指や手の甲へ行き、その付近の皮膚感覚を脳へ伝えます。
正中神経は、脇の下から上腕の内側→肘の中央→親指(母指)・人差し指(示指)・中指へ行き、その付近の皮膚感覚を脳へ伝えます。
尺骨神経は、脇の下から上腕の内側→肘の内側→薬指(環指)の外側・小指へ行き、同様にその付近の皮膚感覚を脳へ伝えます。

このようにそれぞれの神経は担当する領域が違うので、障害される神経によって痺れが出る領域も違ってきます。
このことから、もし手に痺れがある場合、どこの領域の痺れなのかを調べる事で、どの神経が障害されているのかを診断することが出来ます。
そして、圧迫されている場所が中枢よりも末梢ほど痺れの範囲も狭くなるので、より診断が確定されやすくなります。

例えば、頸椎で椎間板ヘルニアがあり、それによる神経の圧迫があれば、手だけでなく腕全体に痺れが出ることがあります。
上腕や肘の部分で神経の圧迫があれば、手の親指側や小指側など、少し痺れの範囲が狭くなります。
更に末梢(手首や指)で神経の圧迫があれば、更に痺れの範囲も狭くなって、指2~3本だけ痺れたりします。

手の末梢の非常に細い神経は知覚を伝える線維しかありませんが、少し太めの神経は運動線維も一緒に通っているので、痺れや知覚障害の場所だけでなく、筋力低下もあれば、その筋肉も調べることで、障害されている神経をより正確に特定することが出来ます。

各神経が担当している知覚領域を図で示したものをデルマトームといいますが、有名なデルマトームの絵をお見せします。

このポーズは一度見ると忘れません。(笑)

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